ラリーアメリカ2015 Ojibwe Forest Rally まとめ
全体を振り返ります。
我々は8月28日金曜日の午後3時に車をパルクエクスポーズに入れました。
アメリカのラリーファンに車をお披露目。


Team Honda Manufacturing of Indianaで記念撮影。

トラビス・パストラーナ選手がインタビューを受けています。

我々は午後5時くらいにスタート。
60マイル位のリエゾンをこなし、リフューエル後にSS1に移動。

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SS1 Crossroad 10.38 mile
SS2 Steamboat 12.96 mile
SS3 Akeley Cutoff 9.19 mile
Akeley Service Park 35 min
SS4 Crossroads 10.38 mile
SS5 Refuge 12.96 mile
SS6 Ingress 10.67 mile
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Day1は以上のようなアイテナリーになっていました。
SS4~6はナイトステージです。
事前テストが出来なかったので、SS1は無難にこなします。
SS2でちょっとだけペースを上げてみます。
車の動きは思いのほか素直で乗りやすい。ブレーキの効き、バランスも良いしサスペンションの感じも良い。
ただエンジンの中速トルクが無くて6500rpm以上の高回転域しか使えない感じです。
ペースを掴みかけた矢先のSS3でトラブル発生。
暗かったのでテストも兼ねて点灯させようとしたLED補助灯が点灯しない。
また、SS走行中スピードメーターが動かなくなり、エンジンが5500rpm以上回らなくなりました。
そのあと、車速信号が来ないために電動パワーステアリングがフェールセーフモードに入りパワステが効かなくなり、さらにエンジンチェックランプも点灯。
SS3はその状態で乗り切り、サービスに状況を伝え修復開始。
トラブルは予想通りで、ミッションの車速カプラーが振動で外れていました。
補助灯は電線の断線。サービスクルーが2つとも治してくれました。



SS4から6はSS1から3のリピートステージ。
走行二回目という事で、ところどころ路面が荒れて岩が地面から頭を出していました。
SS5走行中に車がまっすぐ走らなくなり、サスペンションが上下に動くと右フロントからゴトゴトという異音発生。
SS5とSS6のインターバルは短いので、SS6はちょっとペースを落として走行。
何とかゴールできたので、そんなに深刻なトラブルではない・・・と思っていましたが・・・
車から降りて外から車をチェックすると・・・ありえないくらいネガティブキャンバーが付いています。
これは、バネが折れたかダンパーか、いずれにしても深刻なトラブルが予想できました。
Day1はこれで終わったので、車にダメージを与えないように慎重に移動し、デトロイトレイクスに戻ります。
ラリーアメリカはDay1、Day2間の車両保管(パルクフェルメ)がありません。
よって、明日の朝までに修復できればOK。


ダンパーのロッドが折れていました。
車はサービスクルーに任せ、ドライバーとコドライバーはホテルに戻って就寝。
翌Day2の朝、車は走れる状態になっていました。
ノーマルダンパーといえどスペアを持ってきていたお蔭で、フロントダンパー左右交換とアライメント調整で事無きを得ました。
他の部分へのダメージも無く、運が良かったと言えます。
朝方まで車の修復にあたってくれたサービスクルーに感謝。
Day2のパルクエクスポーズである、デトロイトレイクスのパビリオン横駐車場に車を入れます。

2WDクラスDay1トップのキャメロン・スティーリー選手のフォードフィエスタSTターボ。
チームオニールが製作した車両です。


トラビス・パストラーナ選手と話すキーラン。

Day2は、以下のようなアイテナリーでした。
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SS7 Walde Trail 2.28 mile
SS8 Otterkill 7.88 mile
SS9 Little Rock 14.89 mile
Itasca Service Park 40 min
SS10 Anchor Mattson 9.07 mile
SS11 Little Rock Ⅱ 14.89 mile
SS12 Sugar Bush 6.98 mile
Itasca Service Park 10 min
SS13 Anchor Mattson Ⅱ 9.07 mile
SS14 Subaru Street Stage 0.62 mile
SS15 Subaru Night Stage 0.62 mile
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SS7、8で、フロントダンパーノーマルでも結構走れる事を確認。
SS9からは安全マージンを持ちながらペースを上げて、自分の経験値を上げ、ペースノートと3次元コースへの習熟をしつつ、クラス2位のポジションをキープする走りを実行しました。
トラブルはなく、サービスでは特別何もする事なし。
食事と水分補給、車はタイヤローテーションとトルクチェック、オイルやクーラントのチェックだけで完了。
Day2は、ホンダR&Dアメリカズのラリーチーム、THR(Team Honda Research)と一緒にサービスパークを展開。
THRの方が圧倒的に設備が充実してます・・・いずれは我々もここまでできれば良いですね。


チームオニールのサービス。
2WDクラストップのキャメロン・スティーリー選手にはちょっと追いつけそうにありません。

SS10以降もステディにSSを消化。
気温が30度近くまで上がって湿度も高く、また車もロングステージのSS9、11でオーバーヒート症状が出て、SS終盤で暖房Onした為、結構暑いラリーでした。
Day2 2回目のサービスを終えて、SS13を走り、残すはデトロイトレイクスのストリートステージ2本を残すのみ。
ストリートステージにシケイン設置中。


前も後ろも差が開いているので、ストリートステージはべた抑えで2本走り終えて、無事にゴール。
(キーランが物凄く心配してました。攻めるな、滑らすな、ゆっくり走れ、と・・・)
自身初、そして日本人初の全米選手権クラス2位入賞を果たすことが出来ました。


今回、多くの方々に支えられ、協力頂き、勝てはしなかったものの、現在望みうる最高の順位を勝ち取ることが出来ました。
ご協力頂いた方々(敬称略)
・Honda Manufacturing of Indiana , LLC (HMIN)
・Honda R&D of Americas Team Honda Research (THR)
・株式会社ブロンコバスター(ブレーキパッド)
・株式会社キャロッセ(LSD)
・ビルズ(サスペンション)
・住友ゴム工業株式会社(タイヤ)
・エンケイ株式会社/株式会社アイアールエス(ホイール)
・昭和貿易株式会社(大物部品輸出入コーディネート)
・有限会社アールエスタケダ(部品手配、発送、コーディネート)
・本田技研工業鈴鹿製作所 爽風会自動車部
・応援してくださったすべての皆様
どうもありがとうございました。
次戦は10月16日から18日まで、ミシガン州ホートンで開催される、ラリーアメリカ2015最終戦、LSPR(Lake Superior Performance Rally)に参戦します。
引き続き、ご声援のほどよろしくお願いいたします。


ラリーアメリカ2015 Ojibwe Forest Rally 2位獲得しました!
昨日終了後にサービスクルーが夜を徹してトラブルの修復にあたってくれ、今日も走ることができました。
結果、我々村瀬/Wright組は2WDクラス2位を獲得しました!
総合では7位でした。
やったぜ!
ご声援ありがとうございました。


ラリーアメリカ2015 Ojibwe Forest Rally Day1
クラス2位のようです。
が、トラブルが複数出ていて、それを抱えながらの走行となっています。
現在サービスが夜を徹して修復にあたってくれています。
明日走れるかどうか、微妙なところですが、心配しても仕方がないのでもう寝ます。
明日は9本のSSを走る予定です。



ラリーアメリカ2015 Ojibwe Forest Rally Day0
インディアナからデトロイトレイクスまでは約14時間。
途中、コドライバーのKieranをミネアポリスの空港そばにある、”Mall of America”でピックアップしました。
Kieranとは2年ぶりの再会となります。
0時過ぎにホテルに入り、就寝。


翌日6時20分に起床し、レッキに向かいます。
レッキ受付は昨年とおなじ、デトロイトレイクス湖畔のパビリオン。
レッキカーはホンダのアコード。


道の状態は、昨年よりは大分改善されていて、荒れているところが少なめです。
ただ、道の起伏、いわゆる3次元的な道は昨年と同様で、今まで走ったラリーの中でも1、2を争うレベルの難しい道だと思います。
3次元的な道とは何ぞや、ですが、
日本のラリーコースは急峻な山の中を使う事が多いため、上って下る、というのが通常のリズムです。TRDチャレンジや各地方選手権、全日本選手権などで、スピードレンジの違いはあれど、あまり大きな差はありません。
それに対して、ヨーロッパやアメリカでは、地形の起伏が日本と違っているのか、上ったり下ったりを果てしなく繰り返します。
曲がりながら下って上る、というコーナーも多いですし、スピードレンジが高いのでジャンプもします。
これを3次元的な道、と呼んでいます。
2次元の道:日本の道 から、1つ次元が増えますから、ペースノートに要求される情報量が増えます。
今回も主催者発行のノートに1回のレッキで修正を加えていく方法をとりましたが、未だに情報量の多さを処理しきれません。
ノートの作り方にまだまだ課題が多いと感じました。
こういった3次元の道のラリーにコンスタントに出場しないと、なかなか身に付くものではないと思います。
我々がレッキに行っている間、サービスメカニックたちがラリーカーの車検を通してくれました。


最後は昨年、ラリーをリタイヤして傷心の筆者が帰宅直前に食事をした、思い出の?メキシカン料理屋で夕飯です。
全員で明日からの健闘を誓います。

Day0終了、後は寝るだけ。
とても眠いので寝ます・・・

2015ラリーアメリカ参戦への道 OFR編 その4
日本からリビルドが終わったダンパーが、ギリギリ届きました。
DHLは信頼できる運送会社です。きっちり時間通りに届けてくれました。
今回、THRから受け取ったHotbitsダンパーを使うのですが、日本でのHotbits代理店であるビルズ様にダンパーのリビルドをお願いし、それが日本から帰ってきた、という事です。
ビルズ様、ありがとうございました。
http://www.bils.jp/

Anyway、組みつけます。
ダンパーが長い!そして見違えるように!
昨年のアメリカでのフザケタオーバーホールとは雲泥の差です。


下回り保護プレートをカスタムメイドして、アライメント調整をして、荷物を積み込んで、車は準備完了。

トレーラーに載せて、あとは出発するのみです。
ここまで長かったなあ・・・

という事で、明日ミネソタ州デトロイトレイクスへ出発します。
皆様のご声援が力になります。
ご声援、よろしくお願い致します。

2015ラリーアメリカ参戦への道 OFR編 その3
7月中旬に今年のラリー車である、2008年式ホンダUSシビックSiを、オハイオのホンダR&Dアメリカズにある、チームホンダリサーチ(THR)に取りに行って、車のチェックをしたところまでは書きました。
そのあとブログの更新をしていなかったのは、全精力を車の準備に費やしていたからです。
車のチェック後、交換するための部品を発注。
発注した部品が届き次第組み付け。
少しでも費用削減しようと、THRが持っている部品をもらいに、オハイオ州イーストリバティまで車を走らせること3回。
(往復で6時間掛かります)

・クーラントが漏れていたのでウォーターポンプ交換
・水回りを外すのでついでにサーモスタットを交換
・異音がしたのでベルトテンショナー交換
・プーリーも傷んでいたのでプーリー交換


・トランスミッションは日本から送ってもらったType-R用に載せ替え(クスコLSD + ローファイナルレシオ組み込み)

・同時にチェンジワイヤーとチェンジワイヤーブラケットもType-R用に交換しなければならない事が判明、部品を急きょ手配。ワイヤーの組み付けが大変だったが何とか組み付け。





・ステアリングギアボックス(ラックエンド)にガタがあったのでステアリングギアボックス交換
・ラックエンドガタとタイロッドガタのコンボだった事が判明したためタイロッド交換
・ミッション降ろすついでにクラッチ交換。フライホイールは再研磨して再使用
・フロントロアアーム交換
・ドライブシャフト交換
・エンジンマウント(フロント側)交換



・フロントブレーキキャリパー交換
・フロントブレーキディスク交換
・リヤブレーキキャリパー交換
・リヤブレーキディスク交換

・フロントロアアームボールジョイントブーツが破れていたのでジョイント交換
・プラグ交換
・ミラーが割れていたのでミラー交換



・ダンパーはTHRから壊れたのを渡されたので、リビルドを実施。
昨年の苦い経験から、日本に発送し、日本のダンパーサプライヤーである、ビルズさんにリビルドを実施して頂きました。
現在到着を待っています。


・リヤバネはType-R用のバネが自由長、レート的に一番ダートに合うと判断。
日本で買ったものをこちらに送付して貰いました。
同時にアッパー、ロアスプリングマウントもボロボロだったので交換。

フロアに大きなクラックが3か所空いていたので、溶接にて穴ふさぎ。

・シート交換
・シートベルト交換
・ステアリング交換
・補助灯取り付けと配線引き
・バッテリー交換
・エアクリーナーフィルター交換
・オイル交換
・ミッションオイル交換
・クーラント交換
・ブレーキフルード交換
・エキゾーストマニフォールド交換
・タイヤホイール交換
などなどなど・・・
多くの部品を交換し、車のリフレッシュ兼戦闘力アップを行います。
ただ、交換に際し、ボルトは錆びてるし、下回りはドロドロだしで相当大変でした。
部品もいろいろ交換しなければならず、とても時間が掛かりました。
今年は、彼が筆者のアシスタントになってくれました。部品発注やエンジン廻りの整備では大きな力になってくれました。
Michaelありがとう。

先週日曜日、ようやくエンジンが掛かるところまで行きましたが、エンジン掛けたとたんオイル漏れ発生。
調べると、VTC油圧バルブが壊れていました。
日曜日なのでディーラーは休み。
という事で、急きょ、THRのメンバーに手当たり次第連絡をとると、何とか一人捕まり、訳を話した結果、彼らが持っている壊れたK20エンジンから部品を外してくれることになりました。
ということで、夜の9時半からオハイオまで取りに行きました。
本日その部品を付けて、オイル漏れがないことを確認して、エンジンECUを書き換えて、クラッチ、ブレーキ、LSD、ミッションのならしと当たりつけをやって、室内の配線をして、電装系の機能確認をして。
なんとか今週のラリーに間に合うめどが立ちました。
明日も作業が残っていますが、あとひと踏ん張り、頑張りたいと思います。
我々の出発は水曜日。
筆者はサービスより先に出発し、ミネアポリス空港でキーランをピックアップして、デトロイトレイクスに入ります。
木曜日は、我々クルーはレッキ、サービスチームは車検です。
今回、サービスには、我々の勤務先に設立したラリーチームの有志エンジニアが3名来てくれる事になっています。
先ほど紹介したMichaelも来てくれます。
いよいよラリーウィークの始まりです。
カーナンバー39番、村瀬/Kieran組のご声援をよろしくお願いいたします。

以下、部品手配にご協力頂いた皆様です。
・昭和貿易様(大物部品の輸入)
・ビルス様(ダンパーリビルド、オーバーホール)
・アールエスタケダ様(輸出入コーディネート、部品手配)
・本田技研工業鈴鹿製作所 爽風会自動車部の皆様
誠にありがとうございました。

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