「ラリーについて良く聞かれる質問にお答えします!」 リターンズ

全日本ラリー選手権も全米ラリー選手権もシーズンオフです。

筆者も真っ白に燃え尽きております(笑)



さて、以前書いて割と好評?だった、


「ラリーについて良く聞かれる質問にお答えします!」 シリーズ。


最近、またラリーについて聞かれる事が増えてきました。

欧州ではF1と同等か、それ以上に人気があるといわれるラリーですが、まだまだ日本においての(アメリカでも)認知度は低いと思います。
日本でラリーをやっている人って、ラリーというもの、を知っている人より更に少ない訳ですから、ラリーの内側の事なんて更に認知されていないと思います。
一般の方々にとって、バリバリの現役ラリードライバーと出会ったり話したりするのは、はぐれメタルに遭遇するより少ない確率だと思います。
でも、皆さんラリーという言葉は聞いた事があるし、なんとなくラリーってこんな感じ?というイメージもあると思います。
そんな方々からの色んなご質問を耳にします。

と言う事で、溜った質問に答えて行きたいと思います。


以前の質問と回答はこちら・・・

ラリーについてよく聞かれる質問にお答えします! その1

ラリーについてよく聞かれる質問にお答えします! その2

ラリーについてよく聞かれる質問にお答えします! その3

ラリーについてよく聞かれる質問にお答えします! その4

ラリーについてよく聞かれる質問にお答えします! おかわり



Q:車痛まない?

・・・痛みます。

サーキットを走るレースは、路面がとても平滑に整備されていますが、ラリーは舗装、未舗装を問わず一般道を走るので、路面はサーキットに比べて格段に荒れています。
舗装のラリーではサーキット並みに平らな道を走る事もありますが、未舗装路のラリーは、普通の人の感覚でいうと、はっきりいってボッコボコの道です。
筆者もその昔、初めてラリーの先輩に未舗装路での練習に連れていって貰った時、

「うげー、こんな所走るのかよ、車壊れちゃうよ・・・」

って思いました。遠い昔の、 まだ普通の感覚があった頃です(笑)

舗装路も舗装路で、ガタガタの道、きったない道、苔が生えているような道を走ることがよくあります。
そして、一番驚かれるのが、

「道が狭い!」

ことです。

ラリーを知らなかったアメリカ人が、筆者のインカービデオを見て言いました。

「道がめっちゃ狭いね!」

いや、全米ラリー選手権の道って結構広いんですけでど・・・日本に比べれば。
そりゃまあ、5車線も6車線もあるインディアナポリスの環状線よりは狭いけど。
日本のラリーの映像を見せたら、

「Oh, Kamikaze! Harakiri Driving! Fujiyama Geisha!」

って卒倒するかもしれませんね。

そんな道を、最高200km/h位のスピードで走り、時には車がジャンプします。

と言う事で、ボディやサスペンションに、一般の車とは比較にならない位、もの凄い負荷が掛ります。
ラリーでの使われ方を考慮して、ラリーカーには予め、ボディに補強を入れたり、サスペンションをより耐久性の高いものに交換したりしますが、それでも、使われ方が過酷なので、車は段々劣化して痛んできます。
具体的には、ボディが変形したり、サスペンションが曲がったりします。
定期的にメンテナンスして、ボディのゆがみを修正したり、サスペンションの部品を交換する事で、戦闘力を保つ必要があります。

あとは、未舗装路を走ると、タイヤが掻き上げる砂利がボディの下側やサスペンションに当たります。
また、未舗装路は路面が柔らかいので、ラリーカーが走ると段々掘れてきて轍が出来、タイヤを轍に入れて走るとボディと地面が擦れる事もざらにあります。
飛んでくる石で車が傷つくことをチッピングダメージと言いますが、これがボディの下側にあるエンジンオイルパンや燃料タンク、ブレーキパイプなどに当たって傷を付けてしまうと、えらいこっちゃになります。
ですので、ラリーカーはボディの下回り、燃料タンクやブレーキパイプを金属や樹脂、カーボンの板で保護してあります。


Q:エンジンを一杯回しているようだけど、エンジン壊れないの?

エンジンはアクセルを一杯踏んでも壊れません。
エンジンの回転が設定以上上がらないように、レブリミッターと言うものがエンジンコンピュータの中に仕込まれています。
レブリミッターが保護してくれるので、加速するときは問題ありません。

問題はシフトチェンジをするときです。
コーナーが近づいたら、ブレーキを掛けてシフトダウンしていますが、これはスピードが落ちるとエンジンの回転数が下がるので、シフトダウンしてギアを1段、あるいは2段下げ、エンジンの回転数を高く保つ事で、コーナーを抜けたあとの素早い加速の準備をしています。
シフトダウンの際はレブリミッターが働きませんので、例えばエンジンのレブリミット(上限回転数)が8000回転の車で、 4速8000回転からいきなりギアを2速や1速に入れると、エンジンが9000回転や10000回転までいってしまい、エンジンが壊れる事があります。
これをオーバーレブと言います。
シフトアップする時も、2速8000回転で3速に入れようとして、間違えて1速に入れてしまう事もあり、そう言った時もエンジンが壊れる事があります。

要は、インギア状態でアクセルを踏んでいるだけなら問題ないが、シフトダウン、シフトアップを失敗すると、エンジンを壊す可能性があると言う事です。


Q:怖くないの?

時々怖いです。
怖くなる理由は幾つかあります。

スピードがとても速いので怖い
霧や雨や夜で視界が悪くて怖い
道がとても滑り易くて怖い
コドライバーのペースノートが走りとうまく合わなくて怖い
ナイトステージでお化けが怖い
車をぶつけてしまって請求書が怖い

などです。

恐怖心って、基本的に、自分に自信が持てない時、自分の経験した事のない事をした時、に感じるものだと思います。
経験を積んで、恐怖を克服していくと、それまで恐怖だった事が恐怖じゃ無くなる訳です。
やった事ないですけど、スカイダイビングとかそうでしょうね。
ラリーが経験のモータースポーツだと言われ、ベテランドライバーが強い要因の一つだと思います。

と言う事で、怖い時もありますけど、練習で車をコントロールする技術を極限まで高め、多くのラリーに出て色んな状況の路面を走り、完走する事で自信を深め、 ペースノートの精度を極限まで高め、コドライバーとの絶対的な信頼関係を構築しノートに集中して走ることで、恐怖心を克服しています。

良く言われるのが、

「命がけだね」

という言葉ですが、決して、命がけでやっている訳ではありません。
比喩表現で、

「死ぬ気で走ります!」

っていう時もありますが、本当に死んでも良いと思ってラリーしている人なんていないと思います。
誰だって死にたくないでしょ(笑)
上にも書きましたが、ラリードライバーは日々鍛錬を詰んで、極限の運転技術を以ってラリーに臨む訳です。
コドライバーは、それを極限の集中力とドライバーへの信頼感でサポートします。
ラリーとは、極限まで鍛えた運転技術とチームワークを競うモータースポーツです。
決して、イボイボのベストを着てモヒカン頭をした、命がけのアウトロー野郎たちが、

事故死上等!ヒャッハー!

と、集う集会、では無いのです。くれぐれも誤解無きよう、お願い致します。



Q:でも、危ないよね。

そうですね、スピードを出しますから、危ないか危なくないかと言われれば危ないです。
まあ、でも、それを言い出したら、どんなスポーツにも危険は伴う訳です。
ラグビーやサッカーは骨折れたり靭帯切ったりしますし、柔道も頭打つし、ジョギングですら心臓麻痺の危険が有りますよね。
そうならないように、ラグビーやサッカーは危険なタックルは反則になるし、柔道はまず受け身を徹底的に練習するし、 ジョギングではウォーミングアップが重要って言われます。
それと同じ事で、ラリーも危険が伴うが故に、万が一事故が起きても乗員に怪我が無いように事前準備をしています。

まず、万が一の場合、車が乗員を守ります。
ラリーカーはしっかりと乗員を保護出来るように造ってあります。

具体的には、ロールケージといって、車内にジャングルジムのような鉄のパイプを張り巡らせます。
鉄のパイプの直径、厚み、材質、車への取り付け方などは全てルールがあり、事こまかに決められています。
ラリーが始まる前に、出場する全車は競技車検でロールケージのチェックを受け、NGの車は出走出来ません。

また、ラリーのSS(スペシャルステージ)にオフィシャルはいますが、サーキットのように全てのコーナーにいる訳では無く、数キロ毎にしかいません。
万が一、SSで車から火が出たら、ドライバーとコドライバーで消火作業をしなくてはならないので、全てのラリーカーには消火器の搭載が義務付けられています。
あとは、怪我をしてしまった場合でも直ぐにオフィシャルや救急隊は現場到着出来ませんので、応急処置用として、ファーストエイドキット(包帯とか)、 後続車への合図用に発煙筒、三角停止板、動かなくなった車を牽引して移動させるための牽引ロープなども、車内に積む事が義務付けられています。

詳しくはJRCAさんのHPをご覧いただければと思います。
http://www.jrca.gr.jp/rallycar

次に、乗員の装備も万が一の際、乗員を保護します。
ヘルメット、レーシングスーツ(耐火服)、レーシンググローブ、レーシングシューズを身につけなければいけませんし、 これらも車検で規格に適合しているか、使用期限が切れていないか、チェックを受けます。
最近ではHANSデバイスといって、首を保護する為の装備を付けて走るドライバー、コドライバーも増えて来ました。
車がぶつかったときの衝撃で、人間の首は通常あり得ないくらい伸びるそうで、それが首へのダメージに繋がります。
また、首が伸びて、通常あり得ない場所(ハンドルとか)に顔をぶつけてしまう、という事に繋がりますので、それを防ぐのがHANSです。
筆者も3年前からHANSを導入しましたが、どんなレベルのラリーにおいても、命を守るためにも絶対に装着した方が良い装備だと思います。

話がいささか脱線しましたが、危ないからこそ、色んなルールがあって、それを守って危なくないようにラリーを行っています。


Q:お金掛るよね?

そうですね、お金はかかります。

以前も書きましたが、掛けようと思えば幾らでも掛けられるし、節約しようと思えば節約出来ます。
筆者のラリー始めた頃は、車はホンダシビック(EG6)を自分で買いましたけど、ラリー用ダンパーやホイールは先輩のお下がりでタダでしたし、タイヤはショップさんから廃タイヤを貰ったり、勤めていた会社の先輩から貰ったり、住んでいた独身寮のゴミ捨て場から拾ってきたり(笑)
ロールケージは通販で買って自分で取り付けたし、メンテナンスも先輩に教えて貰ったり本を読んで勉強したりして、出来る事は極力自分でやっていました。
お店にお願いすると工賃が掛りますから。
タイヤも嵌め換え方を覚えて、自分で。
月に10万近くガソリン代が掛っていたので、食費も極力削って、浮いたお金をガソリン代に充てていました。
新品タイヤを買うお金も無かったので、ラリー本番ですら中古タイヤで出ていました。

それでもラリーは出来るもんです。

逆に、お金が一杯あれば、年間数億払って、世界選手権に出ているチームのシートを買って、世界を転戦する事だって不可能ではないでしょうね。お金を掛けようと思えば幾らでも掛けられるのが、ラリーでありモータースポーツです。


こんな感じですかね。


また質問が溜ってきて、一々答えるのが面倒くさくなったら(笑)ここに書きたいと思います。
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